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FLH エンジンOH ラスト
ちょっと時間あいてしまいましたがFLH続きです。

プライマリーをばらしたついでにリクエストのミッションオイル漏れ修理。サンダンスシールを選択。

この段階でオイルを回してクランクへの潤滑を確認

そしてシリンダーを組み込んだ段階で正確な上死点を調べることが出来るのでここでカムタイミングを確認しておきます。

ちょっと説明は省きますがこの方法が一番正確な判断が出来ると思います。細かい話はまたの機会にでも。
タイミングがズレていた場合ははカムギヤを外して入れ直し。
このカムは合格でした。組み上げたあとで悩むより、すべて不安要素を取り除いてから組み上げ。
キャブ調整、点火時期、いろいろやってもクシャミやエンストが直らない。。。なんて人はカムタイミングを疑ってみましょう。

工具を製作してケースをグリグリ気づ付けないようにシール交換。

セルオンリー、ハイカム仕様なので、バッテリーの充電がとても大事。32Aにアップデート(エボと同じになります)

項目がとても多いので要点に絞って一気にいきます。

クラッチナットのシールは面一が正解ではありません。今回はシャフトのコンディションの良い場所を狙って奥に押し込んでます。
シャフトの先端が細いのでシールが当たらないと漏れます。
シールを二個入れる技があるみたいですが、外側のシールがシャフトに当たってないと一個が無駄になります。よく確認して入れましょう。

口うるさく話しているアース不良のこれはレギュレーターの場合の予防策。

ガバナがオイルレスのカラカラで組まれていることも多いですね。すぐガタガタになります。摺動部分なので潤滑お願いします。

大事なブレーキ部分のネジは面倒でも割りピン仕様にして物理的に緩まないように。

パット鳴きが酷いので溝&テーパー加工。

試乗中にスローアウトベアリング焼き付き(泣)
納車前で良かった。。。試乗の重要さを再確認。
ショベルでも前期タイプの傘車を取り付けてる車両を多くみますが、このタイプのスローアウトベアリング自体が壊れやすいものという話ではありません。要点をしっかり押さえて組めば良いものだと思います。

よくあるのはクリップが外れてバラバラになる不具合。爪とのクリアランスを調整してください。

爪の高さはワッシャーで調整して傘車のセンターに行くように。

それでもギリギリな場合は爪をテーパーに逃がし加工を入れておきます。
と、まぁいろいろ面倒なので前期タイプを選ぶってのも納得ですね。

何日かに分けて合計150キロほど走行しました。冷えたり暖まったりを繰り返してヘッドボルトは若干緩むのでトルクチェック。

スペースの問題でアダプターをストレートで仕様するときはトルク値を計算し直してトルクレンチを設定します。

大変お待たせいたしました。また、車体回り細かい部分のご依頼お待ちしております。
ありがとうございました!
FLH エンジンOH その3

FLHエンジン続き。奇麗になり過ぎないようにポリ。作業時間や部品待ちの関係であっちやったりこっちやったりしてます。

バルブ新品、相性の良い材質でガイド製作。現代の自動車と同じ仕様のオイルシールを取り付け、ロングライフを目指します。
カムのデータからバルブリフト量と照らし合わせて、ハイカムチェック

シートカット、当たりもバッチリです。

ねじというネジすべて清掃、トルク管理を正確にするためです。

ロッカースタッドは自作のホルダーで

戻りまして腰下に。
ギアラッシュ確認してカム回り仮組してエンドプレイ等確認


ソリッドタペットは音が出やすいので細工します。

これも前作業者のやり忘れ。ソリッドタペットにオイル圧は必要ないです。オイルがもったいないので

オイルホールを埋めます。
ボルトインのハイカムだったとしても確認は欠かしません。カムの動きが良くわかりますね。場合によってはタペットブロックの加工を行います。
片方ずつ仮組してチェックしてから本組です。

その間にボーリングが仕上がったシリンダーの測定、答え合わせ。信頼している内燃機屋さんですが、自分の目で確認しないと気が済まないのです。

リング合口隙間確認。

マニュアルには載っていませんが

オイルリングは潰すと必ず同じ方向に反る向きがあるので、山になる方をエキスパンダー側に

エキスパンダーは合口を上方になるように僕は組みます。

ピストンはポッチがあるのをカム側とか言ったりしますが、「なぜピストンに向きがあるのか」知っていれば悩むことも間違えて組むこともないです。

もちろん合口を各方向に揃えて準備おけー♪
ですがクランクのオイルの回りを確認したいのでここまでにしておきます。
少々説明が易しくなくて初心者の方には?かもですね汗
ですがこの辺の作業をご自身でされることもほぼないと思うので参考までに。
FLH エンジンOH その2

今回のOHはここまでの分解プラン。とりあえず洗浄、汚れだと思っていたらペイントのエンジンでした。通りで落ちないわけです。

ひたすらワイヤーブラシしか方法がありませんので本当にひたすらゴシゴシ、作業の合間でも気が向いたらゴシゴシ、帰る前にゴシゴシ。
エンジンのルックスも今回はあんまり奇麗すぎる感じだと違うので様子を見ながら♪

リクエストのタイミングホール修正。これならリコイルで修正可能です。

配線は修理された後あり。発電は確認していましたが、この状態なので後々のことも考え、オーナー様にご了承頂きましたので交換の方向で。

タイミング確認用のクリアプラグが使えるようにオーバーサイズではなくリコイルでSTDサイズに再生。

カム回り分解

僅かな違和感があったら必ず作業ストップ。原因がわかるまで調べます。キー溝周辺の寸法、3/100ミリ変形による渋さ。修正、研磨で再使用します。

こちらの車両はオイルポンプが社外のものに変更されていました。僕の予想ですが、前後のシリンダーが異なっていることから、以前OHをしたのちにFピストンピンクリップが外れ、フロントシリンダーに深い傷が入り、シリンダー死亡、Fのみやり直し、破片がオイルラインを回ってしまい、ポンプも同時に死亡、交換、という感じだと思ってます。
ピストンピンクリップだと思った理由は、シリンダー交換するほどのよっぽどのダメージがあったことと、ピンクリップが前後のピストンで異なるタイプを使用していたため、前作業者が対策と考えて部品を選択したのでは?と考えたからです。

そこまではよかったのですが、交換したポンプが年式と合わず、リリーフ機能していませんでした。
リリーフとは高回転時にオイル圧力が上がり過ぎた場合に逃がすことです。
この車両はそれが出来ていないまま走っていたようですね。圧が必要以上に上がるのでオイルはどこからか逃げたくなってオイル漏れ多発していたんだと思います。
旧車ハーレーオイル漏れは当たり前
残念ながらこういった人災被害を受けた車両を数多く見かけるのも事実です。オイル経路を間違えていてもポンプ自体の取り付けは可能なので。。。
この辺は年式により細かい違いがあるので注意です。ご自身の愛車は大丈夫でしょうか?

冶具を利用してナナメ穴加工、ドリルが折れたらケース終了なスーパーエキサイティング加工、確実に穴あけ。

圧が上がり過ぎた時にケース内に戻す仕様です。

これでよし!

プライマリーへのオイルシステムはすでに変更されていました。
ゴムキャップやホースにネジを刺すやり方だとオイル止めきれずににじむので、ネジプラグで確実に。

こんなのでチェックボール当たりもチェック。久々のエンジン始動でブリーザーからオイル吹く車両はここをチェックですが、多くの車両の原因は別にあります。がそのお話はまたの機会で。
仮組して手でポンプがスルスルに回るまで調整。負荷の少ないエンジンを目指します。
オッケーならもう一度ばらして確認、給油して本組。時間が掛かる理由は仮組→分解→本組と組んだりばらしたりなんてやっているからです。また、場所によってはココ組んだらここチェックできんな~みたいな感じなので考えながら進めています。
オイルポンプの件もそうですが基本、他人の作業は疑いまくりで作業を進めます。元の通りに組むなら誰でも出来ますね。
ほとんどの時間を確認に費やします。その時間は決して無駄ではありません。何事もなく進むことが良いですが、ショベル以前の車両だとそんなケースは稀ですし、むしろその逆パターンが多いですね。。。
このシリーズは少し長引きますね。作業の方も最後まで気を抜かずに進めます。
FLH エンジンOH その1

エンジン暖気後に金属系のキンキン音、マフラーから白煙、気持ちよく走れないのでこれを機にエンジンOHすることになりました。

奇麗な車体を維持されてますね。大切に乗られていたのがわかります。

プラグはオイルで塗れてしまっています。

少し、二次エアーの痕跡

確認しつつ、こーなのかも、あーなのかもと想像しながら分解、

これ私初めてなんですが、ヘッドがフレームに干渉して出てきません。
プライマリー周辺のオイル漏れもやる予定なので先にプライマリーバラしてエンジンをずらす羽目に。
その他もフルドレスのショベルはあれ外すのにもあれ外さないとって感じで結局全部バラさないとアクセスできん感じで大変です。

デロデロっす。

ずっと気になってましたが前後でシリンダーが違いますね。おまけにガスケットまで。
理由は後程判明。まぁ予想の域はでませんが。。。

さんざんショベルのO/H風景もネット上であれこれと乗ってますのであまり見かけないことでも載せてみます。もちろん見飽きたようなものも載せます。

精密な測定には温度管理が大事です。20℃の時に正確な数値でますよってこと。

でせっかく温度管理したとしても手で温めてしまっては意味無いので、マイクロメーターの表示の黒い部分を持ちます。
ここは熱を通しにくい素材になっております。


スプリング測定(撮影用なのでテキトーです)

ここで問題あり。それも後程。。。
写真だけで気づいた人はお見事です。


一通りチェック、計測、完了して洗浄作業に入ります。

化石ガスケット剥ぐだけで一日。。。

右がアルミナ仕上げ、左がガラスビーズ仕上げ。
ガラスビーズの方が奇麗になるし、残ったアルミナを取り除く効果があるので最終的にガラスビーズ仕上げで。
先は長いですが今から完成が楽しみになってきました。