月別: 2020年1月
アイアン クラッチ修理

クラッチを切っても前に進んでしまいエンストするアイアンの修理です。

この車両は本来セルオンリーのセルを外し、クラッチシェルを前期タイプのものに変更してキックオンリー仕様にしている様子。
それ自体は問題ないのですが、この前期タイプのクラッチがアイアンオーナーを悩ませる、「プライマリーは湿式だけどその中のクラッチは乾式、だけど結局湿るクラッチ!」です。
しかもこの車両は乾式にするためのドームカバーが付いていませんでしたので湿り放題です。クラッチがオイルで張り付いていました。

尚且つフリクションディスクがアルミ製ってのが良くないとミタ!アルミの熱膨張でクラッチ内が狭くなってしまうんですね。

フリクションディスクを乾式、湿式両用タイプに変更、なぜか新しいフリクションディスクがキツくて入りません。0.3~0.4mmほど溝が違う。。。
ディスク一枚に対し溝が12か所、そしてディスク7枚あるので合計84か所の修正が必要。
ヴィンテージハーレーの整備はこういう試練がサラッと訪れます。(笑)
大残業決定。

ハイ!液体ガスケットは使用する派です。なぜなら漏れ止まるから。液ガスいろいろ使った結果3Mよりもドライブジョイ製がオススメ。
でも見た目ベタベタなのは嫌いなので必要最小限で。プライマリーの場合だとオイルは満タンまで入るわけではないので写真の感じで。

こんな感じで底側を重点的にやっとけば〇

クラッチケーブル周辺もなんやかんや

ディストリビューターもなんやかんや。ここグリスアップしてない車両多いです。エンジン掛かってる間はずーっと動いてるからそりゃ潤滑カラッカラで乗ってればガタでまっす。

クラッチケーブルは見た目よりも一番クラッチケーブルの握りが軽くなる取り回しで。取り回しがきつくなるとレバーが重くなります。
あと本当に基本中の基本のレバーのピンをグリスアップしたりして、当初の握力トレーニングレバーがめちゃくちゃ軽くなってオーナーさんも大喜びでした。クラッチ重い人は意外と見落としがちの基本のレバーからケーブル、クラッチと順を追って点検してみてください。
ご依頼ありがとうございました!
46WL

WLレーサーをリメイクして公道仕様のヴィンテージボバーを製作します。
いきなりフルコントロール完成の写真。
元はレース用にちょこんとしたステップが付いてましたが、足が窮屈なのと、ペダルが踏みづらいので乗りやすくしてほしいとのリクエスト。
WLで定番のステップ位置だと後ろ過ぎる。どーしてもステップ位置を前に少し移動させたいけどステーをとる場所がない。。。

ということで製作。純正のフットボードステーをイメージ

ステップ関係はホント部品が多くて製作に頭を悩ませますが、とても乗りやすくなって満足。オーナー様にも納得してもらえると思います。雰囲気もWLに合わせました。


WRTTスタイルマフラーを短く加工して製作。

車体回りの整備も、スポーク破損を発見。よーく点検してよかったです。

リジットのフレームにステンレススポークは相性悪いです。鉄スポークに変更して組みなおし。

リアはスプロケットの振れを修正。

マグ、クラッチOH

レーシーなペイントを一新してリペイント。
リクエストでエイジングペイントが良いとのことで私自身も以前から興味あり、試してみたいこともあったのでレッツトライ♪
塗装剥がれ、錆、クラック、クリア剥がれなど、とにかくリアリティを追究しました。ぜひ実車をドアップで見て欲しいですがそーはいかないので動画で。

小パーツもエイジング

エンブレムエイジング前

エイジング後

謎のシミつけるのも自由

ワックスが残ってて固まっちゃってます的なとか

昔タンクモールが付いていて塗装が跡ついちゃってますとか。非常に細かすぎて伝わらないので書いときます(笑)

エンブレムは点錆は茶色、緑錆(メッキの下地の銅が錆びて緑色になること)もうっすら再現。



シフトノブは以前製作したワンオフでこちらは自然のエイジングです。

雰囲気マシマシでエイジング最&高ですやん。
写真ありませんがナンバー取り付けのためのステー等も製作しました。エイジングはどーなるかと思いましたがかなりいい感じに溶け込んでおり、別件で来店された本業塗装屋のお客様にも気づかれなかったので〇でしょう。あとは耐久性ですね。
作業の幅が広がってよかったです。例えばいい雰囲気の車両の部分的なカスタムや作り直しでもこの手法で車体に馴染ませることが可能になりました。
初めの奇麗な状態のタンクを見ればお分かりですが、素地のまま外に放置とかはせず、ちゃんと錆止めの下地から始めてますので、錆による割れや穴あきのトラブルもないと思われます。ヤレヤレマジック。レッツエイジングです。
元々調子は悪くなかったので試乗ではセッティングはそこそこにして、コントロール回りを細かく調整、確認。フットクラッチにはスローアウトベアリング保護のためリターンスプリング追加してますね(動画0:15あたり)。戻り側、踏み側両方ともストッパーにしっかり当たる設計でカチッとして非常に操作しやすいです。
非常に乗りやすくなってオーナー様も満足気でした。
ご依頼ありがとうございました!
業務連絡ブログ
世間ではPAYPAYだ何ペイだ騒いでますが、なぜか当店のお客様には超アナロギーな方が多く、(そういう自分も世間から取り残されたアナログ人)LINEすらやってませんという人の多さ。。。
近所の人ならいいんですが、当店では遠方からのご依頼も多いのでブログ利用して業務連絡。
電話だけじゃ伝わらんでしょ。

普段このブログは過去の整備を載せてますので、載せている記事はすでに納車済みの車両ってケースが多いんですが、今回のは業務連絡も兼ねてますのでタイムリーです。。。

まずいきなり今回の不具合のメインから。
ヘッドガスケットの抜けです。本来密閉されているはずの青の部分がオイルまみれです。
原因は恐らく安物の粗悪なガスケットの使用だと思われます。分解時にヘッドボルトの緩みは感じられませんでしたし。


バルブが真っ白です。セッティングが薄すぎると思われます。アイドリングしないのもキャブのセッティングが関係しているでしょう。

前回の修理がエキゾーストバルブのみだったようでインテークバルブにダメージあり。
せっかくバラシたのだからどうせなら同時にやってしまえば良かったのに。

ピストンは再使用の可能性があるのでこの時点ではダメージを与えないように自作ツールで分解。
その際はピストンを温めて熱膨張も利用。

シリンダー測定結果は良好。

ですが気になる縦キズあり要相談ですね。
カムはHカムでした。参考までに。

スラッジ凄いけどオイルポンプコンディション良いです。ここは助かりました。

ただしシャフトは摩耗がありますので交換したほうが良いですね。

タペットローラーにガタがありますのでここは絶対やりましょう。
走行中にベアリングがばらけた車両を何台も見たことがあります。
ベアリングの破片がオイルと一緒にまわり、オイルポンプやブリーザーを次々に破壊して最悪クランクケースが。。。となる前に。

カム周辺もご覧の通り。カムカバーガスケットを見ると左下のちっちゃい部屋がありますね。ガスケット不良で大きい部屋と左下の小さい部屋の気密が保たれていないとこれまたブリーザーからのオイル吹きが起きたりします。クリーニングしてニューガスケットで組んであげましょう。

それとガソリンタンク内が非常にコンディション悪いです。旧コーティング剥がれ、錆、一番厄介なパターンですが剥離、錆取り、コーてぃんぐオススメです。
ざっとこんな感じですが、しっかり治せばバッチリ調子良くなりますよ♪
ご予算もあると思いますので再度個別にお見積りご連絡致しますのでよろしくお願いいたします。
新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。
今年も皆さんにとって良い年となりますように。
今までと変わらずコツコツとやっていきたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。