エンジン片肺になりレッカーです。プラグやコイルの巻替えで簡単に電装系をチェックしたものの異常なし。
リアの圧縮がない。。。
最後の頼みでプッシュロッドを外してキックするものの圧縮なし。エンジンバラシ決定です。
オイリーですね。
圧縮抜けの原因はバルブが閉じ切っていませんでした。
カーボン堆積が原因か?
いえ、原因はバルブ同士がヒットしてバルブが曲がったようです。
ヒットの痕跡あり。
バルブがヒットした原因は、エキゾーストバルブが焼き付いたことでバルブが出っ放しになってインテークと激突したんでしょう。
さぁここまではいいんですが、問題はなぜ焼き付いたのか?
オイル不良ならオイルポンプやオイルラインの確認も必要になります。素性の分からないエンジンですので。
でもオイル不良であれば一番遠いフロントインテークからトラブルが起きるのでは?
う~ん。
原因は意外なものでした。上の写真、二枚目が焼き付いたガイドですが、色が黄色っぽいのが分かります。ここだけバルブガイドがリン青銅のものでした。残り三つは鉄製。。。
しかもバルブガイドの受け部が面加工してあるものとないものと。。。バルブロアカラーも上手く座ってなくて簡単にいうと滅茶苦茶です。
バルブと相性が悪く、摩耗が早まったのか、そもそも前回のオーバーホールで一か所だけガイドを交換しなかったのか。
その辺は全作業者に聞いてみないとわかりませんが、根本の原因が分かったのでそこを改善すれば〇
おそらく多くのオーナー様が修理費用は抑えたい、乗れてたから他は大丈夫なのでは?。と考えて、
多くのメカニックが心配なので全部確認したい、ガイドの件もあるので他の部分も怪しい。と考えます。
ここまでやるとこんな可能性があってこーすると費用的にこうです。と様々なパターンを提案、打ち合わせをしてご納得頂いた上で、今回はヘッドだけのOHコース。
もちろん出来たら一度すべて見てしまった方がいいにきまってます。
カムは覗いて確認。焼き付いた個所のプッシュロッドは曲がってしまったので交換です。
一か所だけバルブガイドが違うのがわかります。残念です。次は笑顔で乗れるように。
超音波洗浄でヘッドクリーニング
トルク管理、ネジチェック。
座面右側が薄っすら削れてるのはバルブカラーの逃がしを加工。ちゃんと削ってないのは、破れることもあるからで最小限です。
最小の費用でバルブ回りがしっかり組めるようにあれこれやってます。ヘッド交換なんてしたら。。。💰
一応バルブの干渉、オーバーラップ確認。
シールを組む時に保護テープ。
長寿命の鉄ガイドとオリジナルシール。
クラッチの切れも悪いのでチェックしたらいろいろ出てくる。
クラッチ交換、ベアリング破損してたので交換、対策も〇
真ん中のボルトは回転します。ガスケットに押し当てられて負荷が掛かってました。
当たらないように加工。
普段必ず試乗、確認してますが、どーしても今回は乗る自信がなく。(笑)
長いだけならいいんですが、これでドッカンロケットスタートスーサイドで、とっさにぶったおすイメージしか出来ません。
一台乗り続ければ慣れますが、仕事柄、いろんなバイクに乗るのでと言い訳(笑)
キャブセッティングもオーナー様に走ってもらってプラグチェックを繰り返しました。
後日謎のエンスト症状があり再修理、原因はガバナ進角のガタが悪いことをしていたようで改善しました。大したことではないですが、わからない段階ではオーナー様ご心配おかけしたと思います。
やはり試乗は大事ですね。ご依頼ありがとうございました。
運転の練習しておきます。