NEWS / BLOG
2020.07.04

ショベルのクラッチの切れが悪い意外な要因。 ギヤの入りが悪い場合ここをチェック!

 

アカ文字はリンクです〇クリック!

エンジンかかりません。。。ということでお預かりのショベル。

お電話では「キックが軽い」とのことでプッシュロッドかな~と想像してましたが預かってみると、原因はクラッチの滑りでした。(最後に動画あります)ショベルのキックスタート車両はキック→クラッチ→プライマリー→エンジンと力を伝えていきますのでクラッチもエンジン始動に重要な要素です。

この車両は一枚目写真の真ん中クラッチ調整ボルトをグリグリにねじ込んでいたのが滑りの原因でした。オーナー様に再度確認しますと、以前からギヤを入れるとクラッチを切っていても前に進んでしまう症状があったそうで、他店にて修理依頼されたそうです。

つまり直すべきはクラッチの切れ不良です。

 

切れ不良の原因は意外なものでした。新品のスタッドだと問題ないですが、車両のクラッチスタッドとディスクの入りが微妙に渋いです。(微妙なので普通に組むことは可能)

このためディスクの動きが悪く、クラッチを切ってもディスクが離れずに前進してしまうんですね。

でもなんで渋いんでしょう。。。

 

犯人はこの溶接修理です。スタッドの角度が溶接修理により僅かに歪んだのでしょう。原因がハッキリとしたのでハブスタッドは交換。いろいろ振り回されて長いことオーナー様を悩ませた問題もこれで解決です。
このようにひと言でクラッチ切れ不良と言っても根本的な原因は様々で、そこを改善しなければ解決には至りません。

適切な点検、状況判断が最重要になります。

滑り気味で乗っていたことが原因でディスク、スチールプレートは摩耗大で交換。シェルも一番奥がかなり摩耗してしまいました。

ロッカークラッチはいつものペダル高さとスプリングテンション変更、かかとガードも取り付け

この辺も一台一台ベストな調整が異なるので毎回、手間をかけて一番乗りやすいように製作しています。

さらなる安定を求めてSUキャブからCVキャブに変更、ステーワンオフ

NGKプラグのBPとBPRの違いは(R)R抵抗入りです。抵抗入りによってノイズを防止していますので、当店ではポイント点火車両はBP、ダイナSやその他電子メーターなど取り付け車両はBPRと分けていますのでプラグ交換。

ショベルのミッションは現代の自動車と違いノンシンクロミッションですので、シフトの際は乗り手が回転を合わせる必要があります。

 

クラッチの滑りはクラッチにマーキングをしてキックorセルにてクランキングすることで、セルフチェックが可能、動画は滑りが酷く一目瞭然ですが、微妙に滑っている場合でもマーキングするとわかりやすいです。

 

クラッチの切れが悪いとクラッチを切ってもクラッチプレートがグルグル回り続け、1速のシフトショックもガチャンと大きくなります。

クラッチの切れが良いと動画のように勝手にプレートが停止します。ただ、これもひとつ難があり、停止した位置がギヤとギヤの歯が丁度当たってしまう位置ですと、一時的にギヤが入りません。つまり!クラッチの切れが良すぎてギヤが入らないという状況が起きます。

 

これは構造上のもので故障ではありません。(これを解消したものが現代の自動車に採用されているミッションのシンクロ機構)

 

簡単な解決方があります。

 

それはクラッチを切った直後、惰性で緩ーく回転している間にシフトを入れてあげればいいだけ。
「クラッチを切る → すぐにシフトを入れる」を一連の動作で行う。これです〇

 

本当はクラッチを切ったときに緩ーく回り続けているのがベストな調整ですが、それはクローズドプライマリーでオイルを入れることで成せる技。

乾式のオープンにしてしまうとそこの微調整は狙って出来るものではありません。

 

クラッチの切れが良すぎても前述の乗り方で解決出来ます。ご自身のクラッチはどんな状態かセルフチェックしてみてください。

その他のビンテージハーレーの乗り方マニュアルをまとめたものもありますのでご興味ある方はこちらをご確認ください。(記事後半、特典マニュアル(PDF))

50歳過ぎてから初ショベルのオーナー様の為にクラッチ、キャブと乗りやすさを追及しました。ご依頼ありがとうございました!